UTMⅢで更なる進化を遂げたUTMシリーズ


ユニパルスのトルクメータ UTMⅢ 0.05Nm

 

UTM II発売から6年を過ぎた頃には、累計出荷台数も2万台を突破しました。この間、多くのお客さまから様々なニーズをいただきました。その中には設計を根本から見直さないと実現に至らない機能がありました。

 

そこで、それらの要望を実現した「UTM III」を開発することにしました。

主な改善点は以下です。

 

  1. 応答速度を1kHzから5kHzへアップ。でも消費電力はそのままに
  2. アナログ電圧出力範囲を±5Vから±10Vへアップ。でも消費電力はそのままに
  3. デジタル通信機能を追加。でも消費電力はもちろんそのままに!
  4. 外部からのZEROリセット機能を追加
  5. 外部からローパスフィルターのカットオフ周波数変更機能を追加
  6. 金属コネクタを採用。お客さまのご要望を具現化
  7. 幅を40mmから32mmへ小型化。たくさん並べて使える!
  8. インローオプションの追加。取り付けがより簡単に

 

1. 応答速度について

 

UTM IIは1kHzもあれば十分と設計しました。しかし、ユーザーの要望は5kHz程度でした。そこで、サンプリング速度を6kHzから20kHzとし、アナログ帯域を1kHzから5kHzにアップさせました。

 

サンプリング速度を上げると消費電力が大きくなり、また通信速度も速くなるため、回転基板から固定基板へ信号を伝達している光伝送素子も高速伝送に対応させる必要があります。あちこちで消費電力が大きくなってしまい、総合的に小型化が困難になります。

回転基板に電力を供給する非接触給電部分の効率化も併せて見直し、トータル消費電力はそのままに高応答化しました。

 

UTMⅡ UTM2 アナログ帯域は1kHz
アナログ帯域は1kHz
UTMⅢ UTM3 アナログ帯域5kHzでさらに高応答に
アナログ帯域5kHzでさらに高応答に

2. アナログ電圧出力範囲

 

殆どのPLCのADコンバータの入力電圧範囲は0~5V、0~10V、-10~+10Vです。プラスからマイナスの電圧を取り込む場合、±10Vしか選択範囲がありません。ここにUTM IIの出力信号範囲である±5Vの信号を接続すると、分解能が1/2になってしまいます。

出力を±10Vにするには内部の電源電圧を変更する必要があるため、実現が困難でした。

 

内部電源電圧を上げると消費電力も大きくなってしまいますが、UTM IIIでは全面的に消費電力を見直してUTM IIと同程度の消費電力に抑えています。

 

UTMⅡ UTM2 UTMⅢ UTM3 アナログ出力比較
UTMⅢ UTM3 ±10V入力の機器への接続が有利

UTMシリーズのアナログ出力は定格出力よりわずかにオーバー出力がありますが、定格以上の出力については保証されていません。


3. デジタル通信機能

 

外部のPCやPLCとデジタル通信できるようにコネクタのピン数を6ピンから12ピンに変更し、RS-485の信号を増設しました。ノイズの影響を受けずに測定値を取得できるようになりました。

 

デジタルインターフェイスを増設する場合、アナログ回路とデジタル回路は電源を絶縁する必要があります。結果、電源系統が増え、さらにデジタルドライバ回路も必要となり、消費電力は通常増加します。

UTM IIIはより小さな固定基板にいろいろと増設されているにも関わらず、消費電力はUTM IIと同等です。

 

4. 外部からのZEROリセット機能

 

デジタルインターフェイスの増設により、その時のアナログ・デジタルの出力値をゼロに合わせる機能を追加しました。

試験機などで試験開始直前値をゼロに合わせ、そこからの差分を測定値として扱うなど、応用範囲が広がりました。

 

5. 外部からのフィルター設定

 

デジタルインターフェイスの増設により、内部のローパスフィルタのカットオフ周波数を設定できるようにしました。

高周波ノイズをカットすることよって、必要な信号変化を高精度に測定することができます。

UTMⅢのフィルタ設定をPCから変更できます
UTMⅢのフィルタ設定をPCから変更できます
UTMⅢ UTM3 測定の目的に合わせて設定可能
測定の目的に合わせて設定可能

6. 金属コネクタ採用

 

UTM IIのコネクタは樹脂製です。ノイズ特性など問題は無いのですが、ユーザーの要望は金属製のコネクタでした。

 

コネクタを樹脂製から金属製に変更したことで、シールドケーブルのシールドをUTM IIIの筐体に接続できるようになりました。より外部ノイズに強くなりました。

 

UTM3 UTMⅢ 金属コネクタ
UTMⅢは 金属コネクタ
UTM3 UTMⅢ 金属コネクタ
UTMⅡは樹脂コネクタ

7. 筐体の小型化

 

複数のトルク計を並べる場合、筐体幅は重要なパラメータです。UTM IIは横幅が40mmで側面からケーブルが出ているため、並べて設置できませんでした。

 

UTM IIIは横幅を32mmと小型化し、ケーブルは上面から出しました。複数のUTM IIIを接近して並べて使えます。

 

UTM3 UTMⅢ 筐体がさらに小型に!

8. インローオプション

 

UTMシリーズでは、筐体を固定しない使用法を推奨しています。軸調整が大幅に簡単になるからです。

しかし、トルク計を装置に組み込んで使用する場合などトルク計の軸とワークの軸を自動的に連結したいとき、筐体を固定したほうが上手くいきます。

 

そこで、UTM IIIではベアリングケースにインローを設けたオプションを用意しました。

インロー部分の中心はベアリングの中心とほぼ一致しますので、連結時UTM IIIの軸はズレ無く位置決めされます。

 

自動検査装置などへの組み込みがより簡単になりました。

 

UTM3 UTMⅢ インローオプション センタリング効果

 

 

UTM IIIは、UTM IIと同じ消費電力で応答速度を5倍、出力電圧範囲を2倍にし、デジタル機能を追加した上に、小型化まで達成した苦心の作です。

併せて、専用指示計もTM301からTM320にアップグレードしました。サンプリング速度は300Hzから16kHzにアップ。波形のピークの検出速度が大幅に向上しています。

また、ロータリーエンコーダに対応したTM380もサンプリング速度を16kHzにアップし、回転角に対する波形検出の速度が向上しています。さらに、CC-Linkインターフェイスからトルク・回転速度・回転角度(エンコーダオプションにも対応しています)が読み込めるTC80-CCLも新たにリリースしました。

 

 

ユニパルスは、トルク計測のトップランナーとして、これからもユーザーの意見に耳を傾けながら多彩なトルク計測のご要望に応えていきます。

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