計量・計測システム構築にかかせないロードセルの原理と使用方法について説明します。
ロードセルは、力の大きさを電気信号に変える変換器です。
劣悪環境で使用するロードセル、高精度ロードセル、ワンポイントロードセルなど、用途に応じ、数多くの種類が生産されています。
力の測定には、光、磁歪、弦振動、静電容量、インダクタンスなどをセンサとして使用したものもありますが、 ここでは応力に比例してひずむ起歪体とひずみゲージを使用しているロードセルについて説明します。
ロードセルの性能を引き出す多彩な計測器をラインアップ
しかも、ロードセルが使用される環境は劣悪な場合が多いため、ノイズなどの不要な信号の影響を受けにくくし、必要な信号のみを取り出す技術が必要です。
弊社ではロードセル用の高精度アンプ、重量計測用のロードセル指示計、圧力・トルク計測用のデジタル指示計など、ロードセルの性能を100%引き出す多彩な製品群を取り揃えています。
ロードセルの原理と使用方法 目次
2.ひずみの検出方法
3.ロードセルの内部構造例(ひずみの検出方法の種類)
4.ひずみゲージとは
5.ひずみゲージの働くわけ
6.ロードセルの使用方法
7.ひずみゲージの働く理論
8.ひずみ(ε)と出力(mV/V)の関係
9.ポアソン比
1.ロードセルの原理
図のように、板の一方を固定し、片持梁を作ります。自由端に力を加え、ひずみゲージを、ひずみが発生する場所に 貼り付けて、その力に比例する変形量”ひずみ”を測定します。
このとき、増幅器はロードセルの性能を引き出すのに重要な役目をします。増幅器には、1μVに満たない信号を 正確に識別できる性能が求められます。 ロードセルの出力感度の表示は、mV/Vで示されます。これは、印加電圧当たりの定格荷重時の出力電圧です。
仮に、定格容量200Nのロードセルに1.5mV/Vが示されていたとすれば、200Nを負荷し、印加電圧を1Vにしたとき、 1.5mVが出力されます。もし、印加電圧が10Vであれば、15mVが出力されます。
2.ひずみの検出方法
ロードボタンに力がかかり、コラムが圧縮されるとゲージ1,3 の電気抵抗が小さくなり、ゲージ2,4 のゲージは圧縮でコラムが太くなることで伸ばされ、電気抵抗が大きくなります。
3.ロードセルの内部構造(ひずみの検出方法の種類)
4.ひずみゲージとは
5.ひずみゲージの働くわけ
一般には、ゲージ抵抗350Ωでゲージ1枚あたり5V程度が推奨されています。 また、印加電圧が変化すると感度が変わってしまいますので、 印加電圧の安定性は、測定に大きな影響を与えます。
6.ロードセルの使用方法
性能を十分引き出すには、ロードセルの設置は、振動の少ない機械的に高剛性の台が必要で、風雨の直撃のないことや、急激な温度変化や太陽光に暴露されない工夫も必要です。
ひずみ増幅器や、ロードセル指示計は、安定したゼロ点、感度、安定した電圧電流の印加電源が必要です。ノイズが少なく、高分解能であることも重要です。
高精度が要求される場合には、ケーブルの抵抗による印加電圧低下を常に監視するいわゆるリモートセンス方式の6線式が必要になります。
非常に小さい信号を増幅するため、電気的ノイズの影響を受けない工夫も必要です。
例えば、力較正されたシステムにおいて、重力加速度が9.8m/s2であるとき、ある質量を測定し、9.8Nを表示した場合には、ある質量は1㎏です。逆に、 較正された質量1kgの分銅があり、重力加速度が9.8m/s2であるとき、指示計のメモリを9.8に合わせることにより、メモリ1=1Nを簡易的に較正できます。重力加速度が安定で変化がなければ、 質量1㎏をメモリ1に合わせることにより、メモリ1=1kgを簡易的に較正できます。
しかし、重力加速度は場所や高度により異なりますので、質量較正は現地で行なう必要があります。
例えば、稚内と鹿児島では1kgの質量をロードセルの秤で測ると約1.2gの差が出てしまいます。
(国土地理院重力加速度 稚内980642.6mGal 鹿児島979471.18mGal)
7.ひずみゲージが働く理論
参考:金属のポアソン比υは0.33程度ですので、K=2.1とすれば、kは、0.44であり、比抵抗値がひずみに対し、大きな比率で変化しており、 無視できないことがわかります。
8.ひずみ(ε)と出力(mV/V)の関係
出力電圧(Vo)は
つまり、K=2のゲージでは、1000マイクロひずみ(ε・10-6)が発生すると、0.5mV/Vの出力を得られることになります。
起歪部に4枚のゲージが使用されていれば、4倍のひずみが検出され、4倍の出力が得られます。つまり、起歪体の機械的ひずみが、1000ε・10-6であれば、電気的には4000ε・10-6のひずみ量、あるいは、2mV/Vの出力が得られます。
ただし、ロードセル内部の機械的ひずみは、出力に比較し、2割程度大きなひずみを発生させ、温度補償や感度調整で出力を定格値に合わせています。
また、K=2.1であれば、1000ε・10-6で0.524mV/Vの出力が得られます。
9.ポアソン比
ポアソン比=-横ひずみ/縦ひずみ とされています。
金属の場合0.33程度が多く用いられています。