ユニパルスのDCプリアンプは、熱的設計を徹底的に行い、長期間エージング並びに部品の選別技術の開発、電圧特性の改良により、モノリシックあるいはチップ 部品による薄膜集積回路などでは到底実現困難な精度と安定性を保証しています。
高精度DCプリアンプを搭載した計測器ラインアップ
DCプリアンプの原理 目次
1.なぜプリアンプが必要なのか
このトランスデューサから出力される信号は、一般的に低レベル信号であり、表示器、記録計、調節計などの機器で扱いやすくするためには安定した増幅器が必要となります。
ひずみゲージを使用したトランスデューサからは、数mV~数十mVと非常に小さな電圧信号が出力されます。DCプリアンプは、この小さな電圧信号を数V~10V程度の電圧へ、 正確にかつ安定的に増幅し、各種計測機器で入力信号として処理することを可能にします。
また、数mVの電圧を1/10000(0.01%)程度の精度で処理するためには、0.1μV程度の電圧を識別できる性能が求められます。
2.高精度DCプリアンプ U300
ひずみゲージ式トランスデューサから出力される小さな電圧を、正確にかつ安定的に増幅することを目的にDCプリアンプU300は製品化され、 モノリシックICでは得ることができない高性能を実現しています。
また、U300は、ロードセルを使用した工業はかりなどに特に適するように、ゲインを200倍の固定とし、ゲインドリフトを低く抑えています。
3.DCプリアンプは平衡差動入力
DCプリアンプU300の入力回路には、平衡型信号源を接続し、同相モード電圧を打ち消すことができるように、平衡差動型を採用しています。
商用電源の50Hzまたは60Hzに由来する誘導ノイズ(ハムノイズ)は、平衡差動の信号ラインには、2線に対して等しい電圧レベルで重畳します。(図A)
平衡差動型の入力回路では、差動電圧のみを増幅することになるため、2線に等しいレベルで重畳された、同相モード電圧はここで打ち消されることになります。
4.ゼロドリフト(オフセット電圧ドリフト)
U300は0.25μV/℃、U300Aでは0.1μV/℃を全数保証しています。ドリフト試験温度は-10℃~+40℃ですが、図Bでも示されているように-20℃~+80℃の温度範囲でも 特性が変化することはありません。
5.ゲインドリフト
ゲインドリフト値は、信号源抵抗がほぼ0Ωにて規定されています。しかし、実際にはひずみゲージ式トランスデューサなどのように必ず個別に信号源抵抗を 持っており、バイアス電流の温度ドリフトが大きいと、これによってゲインドリフトなどの誤差が出てしまいます。
U300には温度センサが組み込まれており、周囲温度の変化に対してバイアス電流が変動しないような補償回路を内蔵しています。したがって、バイアス電流の 温度依存性は極めて低く抑えられており、ゲインドリフトなどへの影響はほとんど無視できます。(図E)
6.入力電圧ノイズ
工業はかりでは、ロードセルには大きな初期荷重(風袋)がかかります。また、衝撃荷重や過負荷に耐えられるように、実際に計量・計測する範囲よりも高容量の ロードセルを使用するのが一般的です。
この場合、計量・計測する範囲はロードセルスケールを大きく下回りますので、出力される電圧も比例して小さくなります。
高分解能を求める場合、最小目盛に相当する電圧値が電圧ノイズの値を上回っていないと、ノイズに影響され安定したデータを得ることができません。
定格荷重6㎏、定格出力2mV/Vのロードセルを1個使用し、500.0gの計量をする場合に最小目盛を0.1gとすると、これに相当する電圧は、0.33μV(印加電圧10V時)になります。
このような条件でも、U300をプリアンプとして搭載した弊社指示計では、安定した目量を指示し、高精度な計量を実現できます。