回転トルクメータUTMシリーズの取扱説明書には「本体を固定しないで使用してください」という記述があります。しかし、場合によっては固定が必要なアプリケーションもあります。今回はこれらについて解説します。



まず、「本体を固定しない=浮かす」とはどういうことなのか?
駆動源(モータなど)や負荷となる機器は定盤上に固定されているものとします。それぞれの軸は通常きれいに(偏心や振動をせずに)回っていますので、単純にトルクメータと軸をカップリングで繋ぐと本体が浮いた状態になります。
ここで固定をしてしまうと軸合わせの手間が発生し偏心や偏角等のミスアライメントを誘発してしまいます。
UTMシリーズは筐体部が軽量で自重がトルク測定に影響を与えないため、浮かしたままでも正確なトルクが計測できます。
その際、装置間のカップリングは必ずシングルタイプ(1関節)のものを使用します。この方法は、軸合わせや芯だしが容易にできて設置も簡単です。偏心・偏角は2つのカップリングで吸収されるため、カップリングの許容範囲内であれば微調整も不要です。


また、ダブルカップリングやオルダムカップリングを使用しないでくださいという記述があります。これは、ダブルやベローズなどの2関節以上のものを使用すると、トルクメータ本体を浮かした場合に跳ね回り破損する恐れがあること、オルダムやジョーカップリングなどの分離可能なものを使用した場合には脱落飛散を誘発し大変危険だという意味で書かれています。
もちろん、装置速度や測定条件、求められる性能は一様ではありませんので、本体を固定したり、ダブルカップリングなどを使用するべき例もあります。
以下にそれらのケースについて説明していきます。

負荷を頻繁に交換する場合の設置方法

工程内の検査装置では、頻繁に負荷を交換する必要があることから、負荷と軸から分離可能なオルダムまたはジョータイプなどが望ましい場合があります。
分離可能なカップリングを使用する場合は、必ず本体を固定して使用します。
その場合、駆動側と固定したトルクメータの間は必ずダブルタイプのカップリングとしてください。


このような用途に便利なインロータイプのUTMも用意しています。
インロータイプはインローで軸中心の位置が確定します。
装置組立時に軸の位置出しの微調整が省略できるメリットがあります。


負荷の取付けの際に軸に過大な負荷がかかる恐れがある場合は、ベアリングポストを設けてアンギュラベアリングやクロスローラーベアリングなどを使用し、軸方向(スラスト)の力を受け止めるよう設計する必要があります。


負荷や駆動源が振動する場合の設置方法

エンジンなどの振動の大きい装置を接続する場合は、その振動がトルクメータに伝わらないように高負荷に耐える軸受けを使用してください。


高速回転させる場合の設置方法

高速回転させる場合には、危険速度(機構的共振が一致する回転数)を意識する必要があります。
危険速度と定格運転速度に重なりがある場合、装置の破損を招くことがあります。
危険速度を上げる場合には剛性を上げる必要があり、そのために本体を固定する必要が生じる場合もあります。



ここで示したものは一例にすぎません。
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